「えっ、まだ仕上げ磨きしなきゃダメなの?」
——そう思ったあなた。何歳のお子さんを想像しましたか?
結論から言うと、小学3年生くらいまでは親がチェックすべきだと思っています。
小学校に上がるころ、「もう自分でできるから大丈夫」と任せてしまうご家庭も多いと思います。
でも実際に診療室で見ていると、ほとんどの子どもはまだ上手に磨けていません。
磨いている“つもり”でも、奥歯の裏や歯と歯の間には汚れがしっかり残っていることがほとんどです。
ご両親が忙しいことは重々承知ですが、子供の歯磨きについてはしっかりと時間をとって行うべきだと考えています。
この記事では、歯科医であり2児の父でもある僕が、仕上げ磨きはなぜ必要なのか、そしてどんな気持ちで続けていくべきかを本音でお伝えします。
仕上げ磨きは“歯をきれいにする”のが目的ではない
仕上げ磨きは、ただ子どもの歯をきれいにするためのものではありません。
子どもが自分で歯を磨けるようになるための「準備期間」なんです。
よく「子供には魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えるべきだ」という文言を見ますが、それが本質です。「歯をきれいにするだけではなく、歯をきれいに保つ術を教えるべきだ」と思っています。
だからこそ、親は「磨いてあげる人」ではなく、“歯磨きの先生”になる意識を持ってほしいと思います。まずあなたが歯磨きに詳しい人間になるべきです。それはあなた自身の歯を守ることにもつながります。
こちらの記事を参考にしてください👇
毎日の仕上げ磨きは、歯をきれいにするだけでなく、「どうやって歯を磨くか」「どこが磨きにくいか」を子どもに教える絶好のチャンス。
親が先生として関わることで、将来自分の歯を守る力を育ててあげられます。
「磨かないからでしょ!」と言いたくなる前に
僕が診療室で一番残念に思うのは、虫歯ができたときに親が子どもを責めてしまう場面です。
「ちゃんと磨かないからでしょ!」——そう言いたくなる気持ちもわかります。
でも、正直に言えばそれは子どものせいではなく、大人のせいなんです。
まだ手先が不器用な年齢のうちは、磨けないのが“当たり前”。
任せきりにしてしまえば、結果的に虫歯になってしまうのも当然です。
現代は共働きの家庭がほとんどです。忙しい毎日の中で時間を取るのは簡単ではありません。
それでも、子どもの歯を守れるのは親の手だけなんです。
小学3年生までは“サポート期間”と考えよう
手先の器用さや集中力が育ってくるのは、小学3年生ごろ。
つまり、それまでは仕上げ磨きが必要な時期だと考えてください。
「全部任せる」ではなく、「一緒に磨く」「最後を確認する」。
この習慣があるだけで、虫歯のリスクは格段に下がります。
特に歯の生え変わりが始まる時期は、乳歯と永久歯が入り混じり、磨きにくい場所が増えます。
そのときこそ、親のサポートが一番重要なんです。
歯科医が親に強調したいポイント:6歳臼歯の磨き残し
歯科医としてぜひ知っておいてほしいのが、6歳臼歯(第一大臼歯)の存在です。
この歯は、小学1年生ごろに一番奥から生えてきます。
生える位置が一番奥なので、今までの奥歯の感覚で磨くと必ず磨き残してしまうでしょう。
子ども自身ではまずうまく磨けません。
仕上げ磨きをしていない家庭では、この6歳臼歯が全て顔を出す前に虫歯になってしまうことで、
本来できるはずのシーラント(予防処置)が間に合わなくなるケースがよくあります。

シーラントとは噛み合わせなどの溝を埋めてしまうことで虫歯を予防する方法です。
6歳臼歯は、一生使う大切な歯。最初の数年を守れるかどうかで、その後の歯の健康が大きく変わります。
まとめ|仕上げ磨きは「自分で磨けるようになるためのサポート」
仕上げ磨きは「いつやめるか」ではなく、「きちんと自分で磨けるようになるか」が大切です。
○歳になれば子供に任せてもいい、と言うものではありません。
そして、あなた自身がまず正しい歯磨きを覚えること。あなたの歯も守ることができます。
子どもの自立を急がせるよりも、一緒に磨く時間を「親子で学ぶ時間」として楽しんでほしい。
その積み重ねが、歯だけでなく、子どもの健康意識そのものを育てます。
忙しくても、数分でいい。今日も一緒に歯を磨いて、未来の虫歯ゼロを一緒に目指しましょう🪥✨


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