歯科におけるセルフメディケーションの危険性

歯科医師の本音

最近よく「セルフメディケーション」という言葉を聞きませんか?
言葉のままの意味で、自分の体の健康は自分で保つというWHOが提唱した考え方です。
医科では、これからの時代とても有意義な考え方だと思います。

ただこの話、医科と歯科ではまるで違います。

実は“歯の症状”にはこの考え方がほとんど当てはまりません。

少々の風邪なら少し様子見れば治るでしょう、この考え方はわかります。
しかし、歯科でこの考えが通用すると思ったら危険です。

なぜなら、歯の痛みや腫れの原因は自分では治せないものばかりだからです。
そして自然治癒することはほぼないと言っていいでしょう。

むしろセルフメディケーション(市販薬や自己判断)に頼ることで

  • 症状が一時的におさまる
  • 治った気がして受診が遅れる
  • 気づいた時には悪化している

という流れになりやすく、結果的に抜歯につながるケースも少なくありません。

この記事では、歯科におけるセルフメディケーションがなぜ危険なのか、
そして歯の異変に気づいたときの正しい行動についてわかりやすく解説します。


セルフメディケーションとは?

改めて、セルフメディケーションとは何なのでしょうか?
「自分の健康に責任を持ち、軽度の不調は自分で手当てすること」。
WHOも推奨している大事な考え方です。

この考え方が言われるようになった背景には、大きくは日本の医療保険制度が関係しています。

少子高齢化の時代、医療費の削減が大きく言われている中で、
病院で診療を受ける人を減らしたいという考え方の潮流によるものでしょう。

他にも、OTC類似薬の保険適用を辞めようという動きもあります。
OTCとは、Over The Counterの略でいわゆる薬局で買える薬ということです。
薬局で買える薬を保険適用にしているのは医療費の圧迫の繋がるというわけですね。

この動画が最近だとわかりやすかったです。

風邪のひきはじめ、軽い肩こり、胃の不調などは市販薬や生活改善で対処しても問題ありません。
医療費の問題は大きな社会問題ですよね。

これがセルフメディケーションの大まかな考え方です。


歯科ではセルフメディケーションがほぼ成り立たない理由

歯科のトラブルは、自己処置で治らない原因ばかりだからです。
薬で痛みがとまるのは一時的な対処に過ぎません。

● 痛み止めで誤魔化す

痛みは消えますが、原因(虫歯・炎症)は確実に悪化していきます。

● うがい薬で治った気になる

匂いの原因を解消しなければ、臭いものに蓋をするだけです。

● 冷たいものがしみるのを“知覚過敏”と決めつける

虫歯が原因であれば、確実に悪化していきます。

● 歯茎の腫れを「疲れかな?」で放置

膿が溜まって、ある日突然激痛や顔の腫れに発展することがあります。

歯科分野の痛み関しては必ず何かしらの原因があると私は考えています。
自分でネットや書籍で知識をつけることは大切ですが、歯科医療機関を頼ってくれた方が
大きなトラブルを避けれることが多いと考えています。

歯科症状とセルフメディケーションの相性が悪い理由3つ

① 原因が見た目で判断できない

歯が正常に見えていても、内部は細菌だらけということは珍しくありません。
X線検査等をしないと、本当の状態はわかりません。

② 痛みや腫れだけ取れても治っていない

痛み止めは治療ではなく、あくまで「感覚を一時的に麻痺させているだけ」です。
抗生剤は「一時的に腫れを抑えているだけ」です。
原因が残っていれば、いずれ必ず再発します。

③ 静かに悪化し、急に爆発することがある

昨日まではなんとか我慢できた痛みが、翌朝には激痛と腫れに変わる。
歯科では、こういったケースが日常的に起きています。


歯科医が考える「正しいセルフメディケーション」とは?

歯科領域における正しいセルフメディケーションは、

「歯の異変に気づいたら、早めに受診すること」
これに尽きると考えています。

なぜなら、

  • 痛みの原因が小さいうちに治療できる
  • 神経を残せる可能性が高くなる
  • 治療回数が減る
  • 費用も少なくすむ
  • 歯の寿命が伸びる

といったメリットがあるからです。

つまり、
あなたの歯を守るための最も効率が良い方法=早期受診
だと言えます。

これついては、定期的な通院が全て解決してくれると思っています。
定期的な通院を心がけましょう。


特に「要受診」のサイン

次のような症状がある場合は、セルフメディケーションではなく、
必ず歯科医院を受診してほしいサインです。

  • 今までに歯が痛んだことがある
  • 一時的に痛みが出て、その後おさまった
  • 歯がしみる(冷たい・熱い・甘いなど)
  • 噛むと違和感や痛みがある
  • 歯茎が腫れたり引いたりを繰り返す
  • 食べ物が詰まりやすくなった
  • 夜にズキズキして寝づらいことがある

放置すればするだけ、治療が大変になると思ったほうがいいです。


まとめ

セルフメディケーションは大切な考え方ですが、
歯の問題に関しては例外です。

歯の痛みや腫れは、自力で治ることはほとんどありません。
むしろ、

  • 痛みが治まったから放置する
  • 市販薬でごまかし続ける

ことで、

  • 神経が死んでしまう
  • 内部が細菌だらけになる
  • 結果的に抜歯が必要になる

といった、望ましくないルートをたどりやすくなります。

歯の違和感は小さなうちに対処するほど、
治療が簡単で、痛みも少なく、歯の寿命も長くなります。

異変を感じたら、迷わず歯科医院へ相談してください。
それが歯科分野における正しいセルフメディケーションです。

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