「虫歯は親から子にうつる=感染性」と聞いたことはありますか?
一方で最近では「虫歯は非感染性疾患(NCD)」という考え方が主流になりつつあります。

「親から子にうつると言われていたけど、そうじゃないかもしれない」とこの頃は考え方が変わってきました!
この記事では、現役歯科医として、“本当のところ”をわかりやすく解説します。
家庭でできる予防法もあわせて紹介します。
虫歯は“非感染性疾患”として見直されている
従来、虫歯(う蝕)は「ミュータンス菌という菌が感染して起こる病気」と考えられてきました。しかし近年では、虫歯は非感染性疾患(non-communicable disease, NCD)として分類される流れが世界的に広がっています。
世界保健機関(WHO)などでは、虫歯は「菌の感染」だけでなく、食生活・清掃習慣・唾液の質・pH・歯質・フッ素などの環境要因の組み合わせで発症する病気とされています。
つまり、「菌がいる=虫歯になる」ではなく、菌がいても環境が整っていれば虫歯にはならないという理解が主流になってきているのです。
それでも“菌の伝播”は無関係ではない
では、「虫歯はうつらない」と言い切れるのか?
実はそうではありません。
虫歯は非感染性疾患として扱われつつも、菌の伝播(感染)が存在することも確かです。
たとえば、
- 同じスプーンや箸を使う
- 食べ物を口移しであげる
- キスなどで唾液が共有される
こうした行為で、親の口腔内のミュータンス菌などが子どもに移る可能性はあります。
ただし大切なのは、菌が移っただけでは虫歯にはならないということです。
菌が“定着して活動する環境”が整わない限り、虫歯は発症しません。
家庭でできる虫歯予防:カギは“環境づくり”
最近の歯科では、「感染対策」よりも環境づくりが重視されています。
菌が増えにくく、脱灰が起こりにくい口腔内を整えることが重要です。
毎日の基本習慣
- 食後の歯磨き:親子で一緒に行うと習慣化しやすい。
- 夜の仕上げ磨き:乳歯期は特に重要。寝る前は必ず実施。
- フッ素入り歯磨き粉:年齢に合った濃度を毎日使う。
- 定期検診とクリーニング:3〜6か月ごとにチェック。

仕上げ磨きに関しては小学3年生くらいまでが推奨とされています
食習慣の整え方
- ダラダラ食べを避ける:間食は時間を決めて。
- 糖の“頻度”を減らす:量よりも回数が重要。
- 水やお茶を基本に:就寝前の甘い飲み物は控える。
スプーンや箸の共有を完全に避ける必要はありませんが、感染経路の一つと理解して、必要に応じて控える程度が現実的です。それよりも、家庭全体で食習慣と清掃習慣を安定させることのほうが効果的です。
以前のブログで詳しく解説しています。
親の口腔ケアが子どもの将来を守る
親の口腔内が清潔であるほど、家庭内の菌量はコントロールしやすくなります。
また、親が歯を大切にしている姿勢を見せることで、子どもは自然と歯磨きを「当たり前」と感じるようになります。
- 虫歯治療を早めに行う
- 歯石・着色は定期的にクリーニング
- フロスや歯間ブラシを日常に取り入れる
家庭単位での口腔管理が、子どもの虫歯予防に直結します。

厳しいことを言いますが、子供の虫歯は100%親のせいです。
逆を言えば、子供の虫歯は親の努力で守ることができます。
まとめ
- 虫歯は近年、非感染性疾患(NCD)として捉えられている。
- ただし、菌の伝播は存在しリスク要因の一つ。
- 発症のカギは日常の口腔環境にある。
- 家庭では習慣と環境づくりを最優先に。
よくある質問
Q. 食器を分ければ虫歯は防げますか?
A. 伝播リスクを下げることはできますが、それだけで予防は完成しません。食習慣と清掃習慣が不可欠です。
Q. フッ素は毎日使っても大丈夫?
A. 年齢・濃度を守れば安全です。むしろ毎日使うほうが効果的です。
Q. 定期検診の頻度は?
A. 目安は3〜6か月。リスクに応じて短くすることもあります。
今日からできることは、①夜の仕上げ磨き ②間食時間の見直し ③フッ素の毎日使用です。 親の行動が、子どもの未来の歯を守ります。

日々大変なことは重々承知ですが、子供の健康のために頑張りましょうね!
僕も頑張ります!!


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